安積疏水は安積平野(郡山市)の水不足を解消すべく明治政府が士族授産・殖産興業の政策のもとに、1879年(明治12年)から国営事業第1号として猪苗代湖の水を導水した事業です。
安積疏水の上流部にあたる磐梯熱海までには、豊富な水流を利用して沼上発電所・竹ノ内発電所・丸守発電所が建設されました。その後、老朽化した用水路の取水口改修工事や、新たな用水需要対応するため熱海頭首工が新設され、現在に至っています。(撮影:5/19/2006、11/27/2007、11/7/2008、6/23/2014)
「今の安積疏水を訪ねる:磐梯熱海編」動画はこちら
↑磐梯熱海温泉街から望める丸守発電所(まるもりはつでんしょ)は1921年(大正10年)に建設されました。当時は大峯発電所(おおみねはつでんしょ)と呼ばれていました。(近くに大峯不動尊があります)郡山市熱海町熱海五丁目。
↑設計者は不明ですが、優れた近代建造物であるため2002年(平成14年)に土木学会選奨土木遺産に指定されました。
2009年(平成21年)2月6日、経済産業省は日本の近代化に貢献した歴史的な建物として丸守発電所を「近代化産業遺産」に認定しました。
※「丸守発電所(まるもりはつでんしょ)」は2016年(平成28年)4月19日(火)、文化庁により開催された「日本遺産審査委員会」の審議を経て、「日本遺産」に認定された37の構成文化財の一つです。
↑変電所が併設されており、発電施設全体に統一感が感じられる。(景観とあいまって美しい発電所です)
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↑熱海頭首工は老朽化した安積疏水の用水路改修事業により、新設された7ヶ所の頭首工の一つ。1973年(昭和48年)に完成し、安積平野の農業用水の源に当る取水口として活躍しています。
↑福島県から1952年(昭和28年)に認可された「安積疏水土地改良区」によって管理さており、今も100名にも及ぶ監護人の力によってこれらの疏水施設が守られている。
↑1972年(昭和47年)には、「国営安積疏水地区と郡山上水道事業との共同工事に関する協議書」の締結により、翌73年から安積疏水の施設を利用して上水を供給している。(郡山市は水を買っている)
↑安積疏水神社(あさかそすいじんじゃ)は1879年(明治12年)に五百川架樋(ごひゃくがわかけとい)の工事成功祈願のため奉祀せられ、安積疏水の守護神として今日に至ります。(その割には存在が地味でなりません)郡山市熱海町安子島
※「安積疏水神社(あさかそすいじんじゃ)」は2016年(平成28年)4月19日(火)、文化庁により開催された「日本遺産審査委員会」の審議を経て、「日本遺産」に認定された37の構成文化財の一つです。
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↑五百川本流。下流を望む。
↑頭首工で分岐した安積疏水は写真前方の「いしむしろそば熱海本店」の下を抜けてくる。(ここのお蕎麦はオススメです!)
↑「かんぽの宿郡山」へ通ずる白いたいこ橋を望む。かんぽの宿へは安積疏水を横断しなければ行けないのだ。
↑「かんぽの宿郡山」通り沿いにテニスコートがあり、時どき優雅にプレイしている風景が見られます。
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追記:2016年8月18日
↑「かんぽの宿郡山」に沿って進みます。
↑母成グリーンラインや磐梯熱海I.Cへぬける県道の立体交差に沿って流れています。境界標が入った塩ビの筒が並んでいます。
↑水門をぬけ、疏水橋へ流れていきます。
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↑表示板には
型式/シングルコードランガー補剛型式水管橋
延長/53.50メートル
管径/2,400ミリメートル
重量/79トン
流量/毎秒16.212立方メートル
製作年月/1977年(昭和52年)3月
製作者名/佐世保重工業株式会社
と記されています。
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↑初夏には、自生の藤の紫色と、新緑の緑色、五百川水管橋の青色が鮮やかなコントラストを見せる藤の名所と思う。(何気に安積疏水の白文字がきいている)
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追記:2017年1月20日
↑今でも眼鏡橋を支えた石造りの礎石が綺麗に残っています。
※サイズは長辺約9メートル×短辺約1メートルの長方形。その周りを固めていたコンクリートはボロボロに砕けています。
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《参考文献》
◇「安積疏水百年史」発行:安積疏水土地改良区
◇「郡山市水道史」発行:郡山市水道局
◇「誰にでもわかる安積開拓の話」発行:歴史春秋社
◇「みずのみち 安積疏水と郡山の発展」発行:歴史春秋社
◇「郡山市水道90年のあゆみ」発行:郡山市水道局
◇「安積開拓120年記念 先人の夢に逢う」発行:郡山市 ほか